消防設備点検業の始め方|資格・許認可・受注の前提

消防設備点検業を始めるには、点検を行う有資格者(消防設備士・消防設備点検資格者)が要ります。点検のみなら建設業許可は不要で、設置工事も請けるなら消防施設工事業の建設業許可が必要です。業態別の要件と受注の前提を一次情報で整理しました。

消防設備点検業はどう始める?何が要る?

要点

点検を行う有資格者(消防設備士・消防設備点検資格者)を確保すれば、点検のみを業として始められ、建設業許可は不要です。消防用設備の設置工事も請ける場合は、消防施設工事業の建設業許可が必要になります。

このデータの要点

  • 点検を業として請けるには、消防設備士または消防設備点検資格者の有資格者が必要。
  • 点検のみを行う場合、建設業許可は不要。
  • 消防用設備の設置工事も請ける場合は、消防施設工事業の建設業許可が必要になる。
  • 官公庁の点検委託では、点検・報告業務の再委託禁止や業務責任者の直接雇用が求められる場合がある。
  • 全国の点検報告率は49.2%(平成29年時点)にとどまり、点検・維持管理の需要は安定して存在する。

要件

区分 項目 適用 必須度 内容
personnel 点検を行う有資格者 inspection_only required 消防設備士または消防設備点検資格者を確保する。免状区分によって点検できる設備の範囲が定まっており、点検のみを業として請ける場合はこれらの有資格者がいれば事業を始められる。 点検できる設備の範囲は免状区分ごとに告示で定義される
license 消防施設工事業の建設業許可 construction conditional 消防用設備の設置工事も請け負う場合は、消防施設工事業の建設業許可が必要。点検のみを行う場合は建設業許可は不要で、業態によって必要な許認可が分かれる。 点検は建設工事に当たらないため、点検のみ業は対象外
personnel 経営業務の管理責任者等 construction conditional 建設業許可を受ける場合、法人なら常勤役員のうち1人が、建設業に関し5年以上の経営業務の管理責任者としての経験を有すること等の要件を満たす必要がある。
financial 財産的基礎 construction conditional 一般建設業の許可では、自己資本500万円以上、500万円以上の資金調達能力、または直前5年間継続して営業した実績のいずれかを満たすこと。
procedure 受注先との契約条件の確認 both conditional 官公庁の点検委託では、点検及び報告業務の再委託が禁止され、業務責任者を直接雇用の自社社員とすることが求められる場合がある。受注前に仕様書の条件を確認する。

消防設備点検業の始め方(2つの業態)

消防設備点検業を始めるとき、まず分けて考えたいのが「点検だけを請けるか」「設置工事も請けるか」という業態の違いです。点検のみを業として行う場合と、消防用設備の設置工事も請け負う場合とで、必要になる許認可が変わります。点検を行うには有資格者が必要で、消防設備士または消防設備点検資格者が、免状の区分に応じた設備を点検できます。点検のみであれば、これらの有資格者を確保することで事業を始められ、建設業許可は不要です。一方、設置工事も手がける場合は、消防施設工事業の建設業許可が必要になります。本ページでは、この業態の分岐を起点に、人的要件・許認可・受注の前提を整理します。

人的要件(点検のみ業は有資格者で始められる)

点検を業として請けるうえで中心になるのが、点検を行う有資格者です。消防設備士と消防設備点検資格者があり、どの免状区分でどの設備を点検できるかは告示で定義されています。点検のみを行うのであれば、対象とする設備に対応した有資格者を確保することが出発点で、建設業許可のような追加の許認可は要りません。自分が取得している資格や、雇用・連携する有資格者の区分によって、請けられる点検の範囲が決まります。どの資格でどの設備を点検できるか、資格の取り方やキャリアの広がりは、資格のクラスタに詳しくまとめています。開業時は、対象にしたい設備の範囲と、それに必要な有資格者の手当てを先に固めておくと、受注の見通しが立てやすくなります。

工事も請けるなら建設業許可(点検のみは不要)

消防用設備の設置工事も請け負う場合は、消防施設工事業の建設業許可が必要になります。消防施設工事は、火災警報設備・消火設備・避難設備など、火災の感知や消火活動に必要な設備を建物に設置する工事を指し、屋内消火栓やスプリンクラー、火災報知設備の設置工事などが含まれます。一方、設置された設備を定期的に確認する点検は建設工事には当たらないため、点検のみを業とする場合は建設業許可は不要です。ここを取り違えると、不要な許可取得に動いたり、逆に工事を許可なく請けてしまったりするため、自分の業態がどちらかを最初にはっきりさせることが大切です。建設業許可の具体的な4要件や手続は、消防施設工事業の建設業許可のページで詳しく説明しています。

受注の前提(官公需の参入条件)

点検事業の受注先には民間建物と官公庁の施設があり、特に官公庁の点検委託では契約条件に注意が必要です。自治体の仕様書の例では、点検及び報告業務は再委託が禁止され、業務責任者は直接的な雇用関係にある自社社員でなければならないと定められています。雇用関係は健康保険や雇用保険の書類などで確認され、確認できない場合は契約解除や指名停止の対象になることがあります。つまり、名義だけ借りて受注するような体制は通用せず、有資格者を自社で抱えるか、実体のある雇用関係を整えることが求められます。こうした参入条件は受注の前提になるため、入札や委託に応じる前に仕様書の条件を確認しておくことが重要です。

需要の規模感(数字は元データへ送客)

開業の判断材料として、需要の規模感もつかんでおくと見通しが立てやすくなります。消防庁が公表した最新の全国点検報告率は49.2%(平成29年時点の速報値で、以降の全国値は未公表)で、報告がなされていない建物が一定数あることを示します。担い手側では、消防設備士の延べ免状交付数が134万8,089人(令和6年3月31日時点)です。設置がほぼ完了した設備を継続的に点検・維持管理する需要は安定して存在し、未報告の建物への働きかけは事業機会にもなります。これらの数字は、それぞれ data・license の各ページに根拠と内訳があります。本ページでは規模感の提示にとどめ、詳細はリンク先で確認してください。

関連リンク

よくある質問

消防設備点検業を始めるのに資格は要る?

点検を行うには有資格者が必要です。消防設備士または消防設備点検資格者が、免状区分に応じた設備を点検できます。点検のみなら、これらの有資格者の確保で事業を始められます。

点検会社を始めるのに建設業許可は必要?

点検のみを行う場合は不要です。建設業許可が必要になるのは、消防用設備の設置工事も請け負う場合で、消防施設工事業の建設業許可が要ります。

点検と工事はどう違う?

設置された設備を定期的に確認するのが点検、設備を建物に取り付けるのが工事です。工事は建設業許可の対象ですが、点検は建設工事に当たらないため許可は不要です。

官公庁の点検を受注するときの注意点は?

仕様書で点検・報告業務の再委託が禁止され、業務責任者を直接雇用の自社社員とすることが求められる場合があります。受注前に仕様書の条件を確認してください。

無料ホワイトペーパー

経営判断の前に、消防点検の非効率を整理する。

作成、提出、配車。人手不足の中でどこからAI化するかを、数字と業務の順番でまとめた資料です。